新光産業きらら浜自然観察公園は、野鳥などのたくさんの生きものを観察し自然に親しむことができる公園です。 

 

新光産業株式会社

クロツラヘラサギの保全活動

クロツラヘラサギを守るための海岸清掃&潮干狩り(2019年6月1日)


開会式前、多くの参加者

こんな大きなゴミも

清掃の後にはおいしい貝汁で昼食
NPO法人野鳥やまぐち、椹野川河口域・干潟自然再生協議会、山口県漁業協同組合吉佐支店山口支所との協働で、「クロツラヘラサギ保護のための、海岸清掃と潮干狩り」と題し、協賛企業、一般県民に募集をかけ、約200名の参加がありました。清掃活動は土路石川河口の2ヵ所で行い、ゴミ回収量は185.1㎏でした。終了後は南潟にて貝掘りを楽しみ、昼には山口湾で採れたアサリで貝汁とおむすびを美味しくいただきました。
 
 
 

屋久島の傷病個体死亡(2019年4月26日)

4月16日救護捕獲に失敗した個体は、地元の観察者からの情報では、屋久島北支部の永田川河口に移動し、田植えの終わった田んぼなどで、オタマジャクシなどを食べながら生活しているとのことでしたが、4月25日にかなり痩せ衰弱した状態で保護されました。地元協力者が夜中も保温するなど懸命な世話をされ、翌朝には当クロツラヘラサギ保護・リハビリセンターで治療・リハビリを行うため、福岡空港まで空輸し受け取りに行く準備をしていましたが、直前に死亡してしまいました。片足で十分に餌がとれず衰弱が原因と思われますが、定かではありません。4月16日の時点で救護捕獲できていたら、助かっていたかも知れないと思うと、残念でなりません。この個体は4月7日に左足を骨折した状態で発見され、片足で飛び跳ねながら移動して、採餌を行っていたようですが、やはり十分な量のエサが取れていなかったのでしょう。
クロツラヘラサギは、嘴を水に入れ左右に振りながら歩き採餌をするため、怪我をしている個体を発見した場合、できるだけ早く保護することの必要性を痛感しました。
残念な結果になってしまいましたが、屋久島でお世話になった方々に感謝申し上げます。
 
 

傷病クロツラヘラサギの救護捕獲で屋久島へ(2019年4月15日~16日)


左足屈折のクロツラヘラサギ
2019年4月7日、鹿児島県屋久島にて左足骨折のクロツラヘラサギが、地元の野鳥の会会員より発見され、山階鳥類研究所に対応についての問い合わせをされました。
昨年度、NPO法人野鳥やまぐちが傷病クロツラヘラサギの保護センターをきらら浜自然観察公園内に開所したことで、当公園にも連絡がありました。
骨折の状態がひどく、できれば保護してあげたいとのことから、屋久島環境省自然保護官事務所との協議を行い、緊急救護のための捕獲許可を受け、4月15日~16日にNPO野鳥やまぐち2名(原田、寺本)葦の会1名で訪島し、地元関係者3名の協力を得て救護捕獲をすることとなりました。
15日午前は宮之浦川河口にいた怪我をしているクロツラヘラサギが、昼頃に山を越えて北側に飛去したとのことで、対面はできませんでしたが、かなり飛翔力があることが分かました。翌日朝一で傷病個体を発見との連絡があり、やっと対面できました。左足のふしょが折れ、骨が飛び出していました。何とか救護捕獲したかったのですが、飛翔可能であるため、結局あと一歩の所で救護捕獲できませんでした。
 
 

2019年度公益信託サントリー世界愛鳥基金贈呈式(2019年4月3日)


保護・リハビリケージ建設の様子を紹介
今年度も、サントリー世界愛鳥基金水辺の大型鳥類保護部門の助成を受けることができ、4月3日東京千代田区にある学士会館で行われた贈呈式に参加してきました。第30回目の贈呈式には、「鳥類保護団体への活動助成」部門では14団体、「地域愛鳥活動助成」部門では17団体、「水辺の大型鳥類保護」部門では3団体が助成を受けられ、総額は3,980万円とのことでした。今年度も「サントリー世界愛鳥基金」の設定趣旨に則り、恥じないような活動を行いたいと思います。
 
 

プレハブ倉庫の暑さ対策(2019年3月13日)


クロツラ倉庫に屋根取付
プレハブ倉庫の欠点は、直射日光に当たると中の温度が高くなることです。そこで、プレハブ倉庫に屋根を取り付けることになりました。強い海風に耐えられるような頑丈な屋根が、2名の大工さんにより少しづつ出来上がっています。
 

お友達確認?(2018年11月22日)


2羽で相互羽づくろい
ケージ内に開放したクロツラヘラサギ。満潮時には陸地へ上がり休息するなど、徐々に干満に対応した行動をするようになってきました。今日は小部屋の中で羽づくろい。クロツラヘラサギはクチバシが長いため、頭や首の上部は自分では羽づくろいできません。そこで考え出したのが相互羽づくろい。2羽が同時に相手の羽づくろいを行います。これならクチバシの届かない部分でも羽づくろいをすることができます。相互羽づくろいには、相手と仲の良い関係を作り、攻撃性を抑制する意味もあるそうです。
 

いざ干潟へ!(2018年11月20日)


初めての海水

澪筋で探餌
きらら浜にやってきて2週間がたった2羽のクロツラヘラサギ。ケージ内小部屋の中で、新しい環境になれるよう経過を見ていましたが、動きも活発になり食欲も出てきたため、いよいよケージ内へ出してみることにしました。ケージ内は満潮時には海水が入り、干潮時には干潟と汽水が流れる澪筋ができます。さて、どのような反応をするのでしょうか?。2羽をゆっくり小部屋から出すと、まず、成鳥の個体が恐る恐る水の中に入り、続いて幼鳥もゆっくり入りました。満潮であったため、水際の浅瀬を歩きながら時々くちばしを左右に振っていましたが、餌を捕るよりも海水の感じを確かめているようでした。しばらくして潮が引くと、驚いたことに澪筋で2羽が盛んに探餌、時々何かを捕らえて食べていました。人工ふ化から育ったクロツラが、初めて入った干潟で餌を探し食べたのです、本能って素晴らしいですね。
 

クロツラヘラサギの様子(2018年11月10日)


バケツの水を飲むクロツラヘラサギ

東京からやって来て4日目になるクロツラヘラサギ。人工飼育ではトキペレットという、トキの飼育用に開発された人工飼料で育ってきたため、しばらくはトキペレットを与えていきますが、ケージの中には干潟があり、干潮時には澪筋が現れ、小魚やエビなどを捕ることができます。今はケージ内の小部屋で様子を見ていますが、慣れてくれば広いケージ内に出し、本来生息している干潟環境に適応できるか見てみたいと思っています。そこで、ペレット以外にも冷凍キビナゴや生きたエビ、小魚も与えてみたいと思い、澪筋で掬ったスジエビを10匹バケツの水の中に入れてみました。すると普段はゆっくり水を飲むクロツラヘラサギが、水の中にクチバシを入れた瞬間、何か生きものの気配を感じたのか、俊敏にクチバシを動かしエビを挟み捕りました。幼鳥は声を出し興奮した様子で、野生の本能はしっかりあるようで驚きました。
 

東京から山口へ (2018年11月6日)


輸送箱から出るクロツラヘラサギ

クロツラヘラサギの保護・リハビリケージが完成し、管理倉庫などが整ったため、今後、保護された傷病鳥が来た時に戸惑うことがないよう、また、ケージ内の干潟、干満変化にクロツラヘラサギがどのように対応できるかなどの実証実験を行うこととなり、東京の朝鮮大学校より、人工飼育をされているクロツラヘラサギ2羽(成鳥、幼鳥)をお借りすることになり、本日14時に飛行にて宇部空港に到着。空港に迎えに行き15時30分にケージ内に出ました。狭い輸送箱の中で不安だったと思いますが、2羽とも見慣れない環境にキョロキョロしていましたが、そのうち羽ばたきをしたり、餌を食べたりと少しずつリラックスしてくれたようで安心しました。これからどんな変化を見せてくれるのでしょうか、楽しみです。
 
 

管理倉庫の設置(2018年10月3日)


トラックから降ろされるプレハブ
保護ケージはほぼ完成。続いての準備は管理倉庫の設置です。保護鳥が入ればしばらく人為的に餌を与えなければなりません。冷凍庫や冷蔵庫、管理日誌を書く机なども必要です。小さな倉庫でも建てるとなると費用がかかります。そこで思いついたのが、中古のプレハブハウスです。これなら建てる時間も費用も少なくて済みます。ユニックで運んできたプレハブ倉庫は、わずか30分で設置完了しました。
 
 

助言を受ける学識経験者に保護ケージの視察(2018年9月10日)


ケージ視察中
クロツラヘラサギ保護プロジェクトを始めるにあたり、2名の学識経験者の方に助言を受ける専門家として、ときわ動物園宮下園長、元多摩動物公園杉田氏にご指導をいただいていますが、東京朝鮮大学野生生物研究所の鄭所長さんにもお願いをして、今回、完成間近の保護ケージの視察にお越しいただきました。干潮時のケージ内に流れる澪筋の様子や、網目の大きさなどのチェックをしていただきました。鄭先生より、この施設は飼育下にあるクロツラヘラサギを野生復帰させる場合があれば、順化施設として活用できるとの感想をいただきました。

 

クロツラ紙芝居と着ぐるみ完成(2018年9月3日)


拡大
きらら浜自然観察公園ボランティアグループ葦の会による大型紙芝居と着ぐるみが完成しました。紙芝居の題名は「クロツラヘラサギのクロちゃん山口へ」です。内容はこうご期待、イベントや公園で上演しますので、ぜひ見に来てください。
 

保護・リハビリケージほぼ完成(2018年8月31日)


干潟の一角に建つリハビリケージ
傷病クロツラヘラサギの保護・リハビリケージがほぼ完成しました。出来上がったケージを見ると、大変な工事であったようには見えませんが、干潟の上に建てる工事は足場が悪く、発泡スチロールのブロックやべニア板で埋まらないようにしながらの工事で、とても大変でした。
 

猛暑の中での建設工事(2018年8月4日)


ケージの骨格が現れました。

猛暑でも日向ぼっこのトビハゼ
連日猛暑の中、ケージ建設は着々と進みケージの骨格が組み立てられています。作業する人の熱中症が心配ですが、トビハゼはこの暑さの中でも日向ぼっこ?
 
 

いよいよ基礎工事が始まりました。(2018年7月16日)


基礎工事のブロック積み
いよいよ基礎工事が始まりました。海岸で海風が吹き、おまけに軟弱地盤の上に大きなケージを建てるため、基礎はしっかりしておかないと傾いてしまいます。

 

保護・リハビリケージ建設に向け測量開始(2018年5月24日)


保護・リハビリケージ建設の測量
公園干潟の北側、汽水性植物池近くにケージを建設することになり、測量がはじまりました。
この場所は、淡水貯留エリアから、淡水が園路下を通り干潟に注ぐため、干潮時には澪筋ができ、小魚が多く集まります。ここに大きなケージ(縦16m横20m高さ3m))を被せるように設置し、ケージの中でも傷病クロツラヘラサギが、自然に近い干潟環境で採餌もできるようにと考えています。
 
 

多摩動物公園野生生物保全センター・朝鮮大学校にて研修(2018年4月5日)


クロツラヘラサギ繁殖ケージ(多摩)

人工飼育中のクロツラヘラサギ(朝鮮大学校)
  現在、動物園などでのクロツラヘラサギ飼育は、1989年から始まった多摩動物園と朝鮮大学との共同研究により、1996年に世界で初めて人工繁殖に成功したことが始まりです。ということで、多摩動物公園生物保全センターに研修に行きました。クロツラヘラサギの人工飼育での知見や方法は、NPO野鳥やまぐちが始めるクロツラヘラサギプロジェクトにとって、大いに参考にしなくてはなりません。保全センターの飼育員さんは、プロ中のプロ。中でも杉田さんはレジェンドと言われる方で、クロツラヘラサギプロジェクトに学識経験者として加わっていただき指導を受けることになっています。みなさん親切に説明してくださいました。
 多摩動物公園と共にクロツラヘラサギの人工繁殖、飼育に取り組んでいる朝鮮大学校野生生物研究所にも研修に行きました。所長の鄭鐘烈先生からクロツラヘラサギの人工繁殖の経緯や、クロツラヘラサギが卵から孵化する様子、成長の過程などをビデオで拝見、説明を受けました。校内にある飼育ケージには人工飼育のクロツラヘラサギ2羽が飼育されており、1羽は孵化して1年未満の幼鳥で、ピーピーとヒナの声でエサをねだり、人にとても慣れていました。
 
 

サントリー世界愛鳥基金贈呈式に出席(2018年4月4日)


クロツラプロジェクトを発表

記念撮影
東京都千代田区神田錦町にある学士会館にて行われた、平成30年度第29回活動助成金贈呈式に6名(NPO法人野鳥やまぐち:信木、寺本、原田、椹野川河口域干潟自然再生協議会:浮田会長、県自然保護課:山野部次長、末冨課長)で参加してきました。
贈呈式に参加する活動団体は、5分程度の活動発表をすることになっており、10:30~リハーサルが行われました。初めての参加でしたが顔見知りも何人かおられ、皆さん熱心に活動されていることを再認識しました。
12:30始まった本番では関係者挨拶の後、小林 光 運営委員長より各助成団体に対し贈呈所が手渡されました。その後、5分間の活動報告がありましたが、5分がこんなに短いとは…。緊張して予定の半分しか発表できませんでした。
14:45からは懇親会があり、はじめての方や日頃めったのお会いできない野鳥関係者と、おいしい料理をいただきながら歓談することができ、楽しく有意義な時間を過ごすことができました。
 
 

公益信託サントリー世界愛鳥基金の助成決定(2017年12月18日)

「傷病クロツラヘラサギの保護・リハビリ施設の設置と繁殖地の創出」プロジェクトが、2017年9月に公益信託サントリー世界愛鳥基金水辺の大型鳥類保護部門に自生金給付申請を提出し、結果発表を心待ちにしていましたが、本日助成決定と贈呈式への案内通知が届きました。年明けと思っていましたし、決定していただいたことに感謝感激です。いよいよ来年度からクロツラプロジェクトが動き始めます。快く協力団体として参画いただきました日本クロツラヘラサギネットワーク、椹野川河口域干潟自然再生協議会、山口大学共同獣医学部、宇部市ときわ動物園、周南市徳山動物園、きらら浜自然観察公園葦の会、日本野鳥の会山口県支部、宇部野鳥保護の会の皆さまに感謝申し上げます。
 
 

クロツラヘラサギの保全について


クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギは、東アジアに局所的に分布する世界的に貴重な種です。近年生息数は増加傾向にあり、日本での越冬数も2018年には500羽を越えましたが、残念なことに怪我をする個体が後を絶ちません。不幸にも怪我をしたクロツラヘラサギを、できるだけ早く保護し、本来の生息環境である安全な干潟でリハビリを行い、野生復帰をめざしたいとの思いから「傷病クロツラヘラサギの保護・リハビリ施設の設置と繁殖地の創出」という取り組みを始めました。怪我をしたクロツラヘラサギでも、元気に回復すれば繁殖に参加することも可能です。
このプロジェクトは、公益信託サントリー世界愛鳥基金の助成を受けて、山口県立きらら浜自然観察公園の指定管理者「NPO法人野鳥やまぐち」が、7団体(椹野川河口域干潟自然再生協議会、日本クロツラヘラサギネットワーク、山口大学共同獣医学部、宇部市常盤動物園協会、周南市徳山動物園、きらら浜自然観察公園葦の会、日本野鳥の会山口県支部、宇部野鳥保護の会)の協力を得て行うもので、クロツラヘラサギを山口湾のアンブレラ種として位置づけ、干潟の環境保全に努め、将来にわたって山口湾の多様な生物を保全するために、山口湾がラムサール条約の登録湿地になること目標にしています。